善正寺は戦争が終わって間もない昭和22年の創立、私の父、啄雄が開創したお寺です。
戦争が終わって、これからどう生きるか。いろいろ思案したようです。
父には祖父を慕ってお念仏を喜ぶ同行が沢山いました。その同行たちが、「折角これだけの土地があるのだから、伝統因習に縛られない新しい時代の新しいお寺をここに開いたらどうか、私たちも協力しよう。」との熱意に支えられ、始まったのが善正寺です。したがって善正寺は、ただ創立の精神により、信仰を中心とし、聞法を大切に思う同行の集うお寺をしての評判が次第に広がり、今日のお寺の基盤を作ってきたのです。
お寺のモットーは、「わたしのお寺」です。
それは、家とお寺ではなく、ひとりひとりの心とつながるお寺をめざしているからです。
引き継がれる住職の歴史
戦争が終わってまだ2年、日本中が生活に困窮し、何より荒廃した世相の中で、精神のよりどころとなる念仏の灯をともしたいという父(前住職)の想いに支えられての開創でした。父は広島県の山奥・豊栄町(現・東広島市)の善正寺の次男です。祖父・晃照は明治大正期、本願寺の三羽烏といわれた有名な布教使でした。その晃照は、大正半ばごろ住職を長男に譲って別府に別邸を構え、ここを拠点に布教活動を続けました。